建設業界をとりまく環境は厳しいものがあり、自ら価値を創造し提供していかなければ、公共工事の削減、受注競争の激化などにより立ち遅れる可能性があります。「まだ大丈夫」と思っていらっしゃるかもしれません。ですが、本当に今後の見通しを考えた時に、不安を感じる方もいらっしゃると思います。そこで、建設業界の動向を御紹介いたします。
●政府系建設投資額は土木、建築とも9年連続減少見込みが出ている
●民間の建築投資額は堅調に推移している
●政府系建設投資額は土木、建築を合計しても民間建築投資額に及ばないでいる
⇒政府系建設投資額(建築 + 土木)18兆1,500億円
⇒民間建築投資額29兆4,000億円
民間の建設投資額は、政府系建築投資額に対し、堅調に推移しています。
●住宅投資額は店舗、工場等非住宅投資額より多く、政府系と民間合計建築投資額のうち、約60%を占めている
●近年では住宅投資額が、政府系土木投資額を上回っている
●平成18年度見通し
⇒政府系土木投資額16兆3,300億円
⇒住宅投資額19兆4,600億円
住宅建設は政府系土木と同等の市場であると言えます。この市場に対し、どのようにアプローチするかを考えるために、住宅建設の実態を分析したいと思います。
●住宅の着工戸数は、目立った減少も無く堅調に推移している
●近年、貸家の構成比が年々高まってきており、17年度は40%以上となっている
住宅の中でも貸家の市場は堅調に推移しています。ニーズが無ければ数字が伸びることは無いので、賃貸住宅には堅調な需要があり、ビジネスチャンスがあるといえます。賃貸住宅事業参入のポイントは、まずはコスト重視の考え方を改める必要があります。
価格が競合他社より高ければ、受注できないと思い込んではいないでしょうか。しかし、その値段に値する価値があると判断をしていただいたら、納得して購入していただけます。つまり、商品価値を理解していただいて、競合他社よりも価値があるものだと認知していただければ、購入していただけるのです。
商品価値をこれからは売らなければなりません。新しい性能や機能を創造し、従来の賃貸住宅や競合他社にはないものを、商品化する必要があります。御社の他社にはない強み、主力商品について、賃貸住宅を商品化できているかについて考えなくてはなりません。また、今後は環境問題を避けて通れなくなると思います。
EU(欧州連合)は温暖化ガスの削減を20年までに1990年比で20%と新たな目標を導入しました。京都議定書の期限は2012年まで。日本は1990年比で6%削減という目標を掲げておりますが、05年度の温暖化ガス排出量は90年度比では約8%増で目標達成が大きな課題となっております。環境省、2005年の温室効果ガス排出量速報値によると、家庭部門からの二酸化炭素排出量は1億7,500万トンであり、基準年(1990年)と比較し、37.4%増、前年度比4.5%増となっています。主な要因として暖房需要の増加により、電力消費に伴う排出量の増大を挙げています。今後、建築への規制強化も確実視されています。
事業として環境に対する何らかの取組をし、社会に貢献しなければなりません。御社での環境に対する取り組みについて、建築に温暖化防止対策は施されているか、環境に配慮している企業として認知されることへの価値を考えてみてください。